イノベーションのジレンマ

イノベーションのジレンマを読んだので、自分の頭を整理するためにまとめる。

著者のクレイトン・クリステンセンが先日亡くなられたことで、この本を知った。著名な本のようだったので勢いで買って読み終えました。

業界でトップにのしあがった企業が新興企業に侵食され、なぜ衰退してしまうかを書いた本。

衰退

大企業は、持続的に技術を向上させていくには向いている。しかし、破壊的なイノベーションを武器にした小さい企業に侵食され衰退していく。
例えば、HDDは14インチ、8インチ、5インチ、3インチとサイズが時代とともに変わったが、14インチの時代の企業は1社も残っていない。

また、小企業が低価格帯に食い込むと大企業は利益率の高いハイエンド商品に集中し低価格帯から撤退する。
低価格帯で勝利した小企業は、持ち前の低コスト構造のままハイエンド商品へ侵食していくので大企業はいずれ衰退する。

理由

  • 技術:技術的には製造可能な状態であるケースが多いが、経営判断で挑まない
  • 利益判断:8インチHDDは14インチより利益率が悪いため、より成長が求められる大企業では利益率の悪い分野への投資は避けてしまう
  • 顧客:既存の顧客の声をよく聞こうとする大企業は、14インチHDDの顧客が8インチを求めてなければ積極的に参入しない
  • 市場:破壊的イノベーション(例:8インチ)の市場がどこにあるか誰が欲しがるのか、最初は誰にもわからないものである
  • 資本:そのため最初から資本を全て投入し凝った製品を作ると、シンプルだったり方向性が少し違うものが求められてもお金がなくて方向転換できなくなる
  • プロセス:既にあるものを改善・向上させていくことと、手探り市場を見つけ出すマーケティングは大きく違う
  • 価値観:大企業として歩んできた結果、失敗・試行錯誤や利益率について融通は認められない風土になっている
  • 先行者利益:持続的な開発においては先行者利益はないが、破壊的イノベーションが市場として熟すのを待っていると結果的に先行者に追いつけないまま衰退する

備え

  • 破壊的技術を必要とする顧客がいる組織に資源が流れるようにする
  • 独立組織は、小さな成功も歓迎できるような小規模組織にする
  • 失敗に備え、最初からうまくいくと考えない。学習期間と捉えてデータを収集しながら軌道修正する
  • 大成功を期待しない。現時点で身の丈にあった市場を見つける。現在の主流市場にとって魅力の薄いものこそ、新しい市場を作り出す要因となる