異文化理解力を読んだ

仕事におけるコミュニケーションについて、国の文化から尊重される部分や思考ロジックが異なるという記事を見て、ずっと気になってた本をついに読んでみました。

全ては相対的で、似たような国同士でも違いを感じるそうです。
同じ日本人でも志向の違いがありますが、それらがこの本で書かれていることが当てはまると思いました。特に自分とは違う志向性を理解するのに役立つと感じたので、備忘録的にまとめます。

1. コミュニケーション

ローコンテクスト

良いコミュニケーションは厳密で、シンプルで、明確なものである。メッセージは額面通りに伝え、額面通りに受け取る。コミュニケーションを明確にするためなら繰り返しも歓迎される。
メッセージを正確に伝えることが話者の責任として重要視される。聞き手が理解できないのは、話し手のせい。

ハイコンテクスト

良いコミュニケーションとは繊細で、含みがあり、多層的なものである。メッセージは行間で伝え、行間で受け取る。ほのめかして伝えられることが多く、はっきりと口にすることは少ない。メッセージを伝える責任は、メッセージを送る側と受け手側の両者で共有されるもの。

日本

ハイコンテクスト

2. 評価

コンテクストとネガティブフィードバックは組み合わせ的に国々で異なるため、ローコンテクストだから直接的なネガティブフィードバックな文化とは限らないのが注意。

直接的なネガティブフィードバック

単刀直入に、正直に伝えられる。ネガティブなメッセージをそのまま伝え、ポジティブなメッセージで和らげることはしない。「間違いなく不適切だ」「全くもってプロフェッショナルとは言えない」といった言い回しをする。

間接的なネガティブフィードバック

柔らかく、さりげなく、やんわりと伝えられる。ポジティブなメッセージでネガティブなメッセージを包み込む。「やや不適切だ」「少しプロフェッショナルじゃない」といった言い回しをする。批判は1対1でのみ行われる。

日本

間接的なネガティブフィードバック

3. 説得

原理優先

各人は最初に理論や複雑な概念を検討してから事実や、発言や、意見を提示するように訓練されている。理論的な議論をもとに報告を行ってから結論へと移るのが好ましいとされている。各状況の奥に潜む概念的原理に価値が置かれる。

応用優先

各人は事実や、発言や意見を提示した後で、それを裏付けたり結論に説得力を持たせる概念を加えるように訓練されている。まとめたり箇条書きにしてメッセージや報告を伝えるのが好ましいとされている。議論は実践的で具体的に行われる。理論や哲学的な議論はビジネス環境では避けられている。
「なぜ」そうするべきか説明のないまま指示を出す。

包括的な思考

中国の宗教や哲学は、相互の繋がりや関わり合いに重きを置いている。仏教や儒教の流れ的に、さまざまな要素が互いに影響を与えながら調和が保たれているという考えがある。
全体像を説明する時間をとり、互いがいかに影響し合っているかを提示した方がうまくいく。

日本

応用優先

4. リード

平等主義

上司と部下の理想の距離は近いものである。理想の上司とは平等な人々の中のまとめ役である。組織はフラット。しばしば序列を飛び越えてコミュニケーションが行われる。

階層主義

上司と部下の理想の距離は遠いものである。理想の上司とは最前線で導く強い旗振り役である。肩書きが重要。組織は多層的で固定的。序列に沿ってコミュニケーションが行われる。

日本

階層主義

5. 決断

大きな決断と小さな決断

大きな決断はしっかりと議論をして、決断後は変更はなく実行するだけ。小さい決断は議論して決断しても、さらなる議論や決断の修正や変更の可能性がありつつ実行する。

合意志向

決断は全員の合意の上、グループでなされる。

トップダウン

決断は個人でなされる(大抵は上司がする)

日本

合意志向

6. 信頼

タスクベース

信頼はビジネスに関連した活動によって築かれる。仕事の関係は実際の状況に合わせてくっついたり離れたりが簡単にできる。あなたが常にいい仕事をしていれば、あなたは頼り甲斐があるということになり、私もあなたとの仕事に満足し、あなたを信頼する。

関係ベース

信頼は食事をしたり、お酒を飲んだり、コーヒーを一緒に飲むことによって築かれる。仕事の関係はゆっくりと長い期間をかけて築かれる。あなたの深いところまでを見てきて、個人的な時間を共有し、あなたのことを信頼している人たちのことも知っているから、私は信頼する。

日本

関係ベース

7. 見解の相違

対立型

見解の相違や議論はチームや組織によってポジティブなものだと考えている。表立って対立するのは問題ないことであり、関係にネガティブな影響は与えない。

対立回避型

見解の相違や議論はチームや組織にとってネガティブなものだと考えている。表立って対立するのは問題で、グループの調和が乱れたり、関係にネガティブな影響を与える。

日本

対立回避型

8. スケジューリング

直接的な時間

プロジェクトは連続的なものとして捉えられ、一つの作業が終わったら次の作業へと進む。一度にひとつづつ。邪魔は入らない。重要なのは締切で、スケジュール通りに進むこと。柔軟性ではなく組織性や迅速さに価値が置かれる。

柔軟な時間

プロジェクトは流動的なものとして捉えられ、場当たり的に作業を進める。様々なことが同時に進行し邪魔が入っても受け入れられる。大切なのは順応性であり、組織性よりも柔軟性に価値が置かれる。